gently〜時間をおいかけて〜
あたしは何を勘違いしていたのだろう?

また航が悲しんで、1人で泣いているなんてどうして思ったのだろう?

全く、迷惑で勝手な話だ。

「実話って言うのが、結構響いた」

「ふーん」

テキトーに相づちをしながら、スーパーマーケットで買ってきた食材を冷蔵庫に入れた。

「泣いたから、その分お腹すいた」

「もー」

困ったように笑った航につられるように、あたしも笑った。

「それで、今日の晩飯は?」

航がのん気にそんなことを聞いてくるもんだから、あたしはまた笑った。
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