いつかのMerry Xmas
その日は、粉雪がちらついて、クリスマスムードに浸るにはもってこいだった。

私たちは四人で、なんてことない田舎の商店街を端から端まで歩き回った。



ただ、ただ無邪気に楽しかったから。
その時、イチローがいったい、私とまどかちゃん、どっちに熱い視線を送っているかなんて、考える気は1ミリも起きなかった。


迂闊だったのか、能天気だったのか、それともそういうものだったのか。



彼の本心も知らず、ただただ楽しむことしか知らなかった――それは、いつかのクリスマスのほろ苦く、ほろ甘い、私の思い出の一ページ。



END
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