続・女好き彼氏
「美夜?どうした?」
ぐにゃぐにゃ揺らぐ世界の中で
あたしの名前を呼んでくれる人がいた。
誰が言ってるのかわからないけど
その声と言葉が
やけに優しく心を掴んだ。
光太が心配してくれたの?
てるちゃんが心配してくれたの?
それとも……
あたしは淡い期待を自分の心に抱いて
心の中で大きく首を振った。
もう、悠雅はあたしなんて
興味ないんだから
あたしが熱あるなんて気づくはずがない……よね。
くるくるくるくる回る世界で
自分の体の力が抜けていくのがわかる。
そしてあたしが意識をなくす
10秒前……
「美夜!!」
あたしの名前を叫んで
倒れていきそうなあたしを
抱き止めてくれた人がいた。
その人からは
女の人がつける香水の甘い香りがして……
「ゆう…が…………」
あたしはその人の胸の中で
ついに意識を手放した。