続・女好き彼氏
あたしは自分の考えを頭の中でぐるぐると巡らす。
バクバクとうるさい心臓をおさえて
光太に何か言わないとっとか思いながら言葉も何も浮かんでこないのに、パクパクと口を動かす。
劇のときは光太しか見ないよ?
大事な弟なんだから!
そんなこと言えるはずがない。
きっと、多分……あたしは悠雅を見てしまう。
光太に何も言えないあたしは、ただただ自分の足元を見て立っていた。
すると、光太のため息と光太が立ち上がる音が聞こえた。
「やっぱり、まだあいつのこと好きだったんだ」
光太の言葉に何も言えない。
そうだった。
あたし、光太にまだ悠雅のことが好きって言ってなかったんだ。
光太が一歩一歩あたしに近づいてきて
あたしの目の前で立ち止まる。
そして………
また深いため息をした後に
光太の大きくて温かい手があたしの頭の上に乗せられた。
「俺なんか見る暇あるなら
ちゃんとあいつのこと見てやれよ……」