続・女好き彼氏
「え、えっと………ななな、何でしょう」
緊張であたしはくるくると目を回してしまう。
だだだってそれぐらい顔が近いから。
下手したらお互いの鼻が触れ合ってしまうんじゃないかって距離。
すると海哉くんはふっと笑う。
「風邪。大丈夫?」
そう言うとあたしから離れてイスに深く腰掛けた海哉くん。
な、なんだ。
あたしのこと心配してたんだ……。
あたしは自分の心を落ち着かせるために小さく咳払いをすると何故か姿勢を正した。
「え、えっと…大丈夫です」
「そう?顔が赤いみたいだけど」
そ、それは海哉くんが顔を近づけたりするからです。
なんて言えるわけもなく
あたしは黙ってにっこり微笑む海哉くんから視線を外す。
すると、海哉くんは何か思い出したみたいに
「あっ」っと声を出した。
「ど、どうしたの?」
あたしは下を向いたまま
海哉くんに話しかける。
すると海哉くんの声のトーンが一気に変わる。
「そういえば、悠雅に伝言を頼まれてたんだ」