続・女好き彼氏
─────────午後1時38分──…
てるちゃんに言われたとおり
市民体育館に来たけど……。
ど、どこで練習してるんだろう?
あたしはほとんど人のいない市民体育館の周りをうろつく。
声も聞こえなければ音もしない。
聞こえてくるのは蝉の声と風の音。
今日はいつも以上に暑くて
外にずっといたら倒れてしまいそうになる。
「でも、日傘も帽子も被ってるから大丈夫!!」
そう思ったことをつい大きめの声で口走ってしまったけど、周りに人はいなくて
誰もあたしの声には応えてくれない。
な、なんか、寂しい。
人が居て見られるのも嫌だけどさ。
そんなことをぶつぶつ言いながら
何もない道をとぼとぼ歩く。
ミーンミーンっと蝉の声。
聞いているだけで暑苦しい。
そう思って額の汗を拭いながらまたため息をこぼそうとしたとき。
「好きです。貴方のことが……」
どこからか聞こえてきた。
切なげに好きだと言う男の人の声。