続・女好き彼氏




「お、おい!俺、今汗臭いぞ!?」


「知ってるよおおお…」



そんなこと知ってる。


光太だって演劇の練習頑張てるんだから。


でも


そんなことどうでもいい


光太がどんなに汗臭くても

どんなに戸惑って

迷惑そうに顔を歪めても……



「……ばか…」




最後には優しく抱きしめて
壊れ物でも触るみたいに
優しく頭を撫でてくれるから。






ほんと、光太には迷惑しかかけてない。


こんなにしっかりした弟に
あたしは育てた覚えなんてないよ。



ごめんね、光太。


こんなに頼りないお姉ちゃんで…


でも


あたし、光太がいてくれて助かってる。


光太の腕は大きくて。


何よりも
どんなものよりも心地よくて
あたしに安心をくれるから……




ああ、もう


ほんとに………



たまに心から思ってしまうよ。




「光太があたしの弟じゃなくて

あたしの好きな人で彼氏だったら……


こんなに苦しくないのかもね……」





ほんとに


ほんとに


ただ、思っただけ。




思ったことを

あたしは口に出しただけ……












「それ……本当に思ってること?」



「……え?」











今、後悔しても遅い


あんなこと


言わない方が


光太にこんな表情させなかった。






















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