続・女好き彼氏



またあたしは小首を傾げる。


するとそんなあたしを
光太がチラリと見た。


「泣き止んだ?」



「え、あ……」


あたしは、光太の言葉にハッとする。


そう言えばあたし…
いつの間にか涙が止まってる。


あたしはいつの間にか乾いていた頬に手を当てる。


ああ、やっぱり。


やっぱりそうなんだ。


「あたし、光太にぎゅっとされると
涙とか、心の痛みとか悲しいとか
全部どこかに飛んでっちゃうんだよね……」



ほんとに


不思議なぐらい。


心がさっきよりも軽くなってる。


「そんなわけねぇだろ」


そう言って光太はあたしに背中を向ける。


ああ、きっとあたしの言葉に
照れてしまったんだ。


そんな光太が
あたしには可愛くて仕方ない。



あたしは勝手に緩んでしまった口元を
必死で抑えながら光太の背中を突く。


「この、照れ屋め」


「触んな、単純ばか」


そう言ってまた照れたみたいに
あたしから離れてリビングに戻る光太。



なに、あれ。


ほんとに可愛い。







光太


光太……


あたし、光太が弟で良かった。
























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