続・女好き彼氏
何も知らないあたしは
リビングに行った光太に近づく。
驚かせてしまおう。
そんな軽い気持ちで…
ゆっくり
ゆっくり
光太の背後に近づいた。
「光太、ありがとう」
そう言ってあたしは光太の服の裾を
軽く引っ張った。
そう、
ただ、軽く引っ張っただけ……だよね?
だけど光太は
勢いよくあたしの方に振り向くと
あたしの手を振り払うみたいに手放してきた。
「あ……」
「え?」
あたしと光太の戸惑いの声が重なる。
あ、れ?
なんでこんなに驚いてるの?
いつもの光太なら
呆れた顔であたしの頭を力強くなでるのに
どうして
そんなに
怖い顔をしているの?
あたしは光太の初めて見た表情に
身体がピタリと固まってしまった。