続・女好き彼氏
それに久しぶりって何?
俺は……忘れているのか?
「やっぱり覚えてないか……」
そんなことを俺の隣でぼそっと呟いた海哉。
「お、おい……なんの話だよ…?」
俺は海哉が何を言っているのか
なんでそんなに暗い顔をしているのか
全くわからない。
なんだよ?
一体、なんなわけ?
俺の心が不安で揺れる。
「記憶喪失って……ほんとなんだ」
「……え?」
いつの間にか俺と海哉の前に座っていた女の子。
女の子も暗い顔をしている。
た、確かに俺は美夜だけの記憶をなくしているはず。
だけど
他の人のことは覚えてた。
家族も、友達も
子供の頃の記憶も……
全部覚えているはず。
なのに……
「な、なあ……海哉。
俺はこの女の子と
どこかで会ったことがあるのか?」
いつの間にか心臓がバクバクとうるさい。
耳に響いて鼓膜が破れるんじゃないかってぐらい
激しく鳴る。
下を向いたままの海哉頭を上げて
ガラスの向こうで下を向いて座っている女の子を見て
ゆっくりと口を動かした。