続・女好き彼氏
「八神は謝らなくていい」
「え?」
俺の言葉に驚いたのか
八神は目を丸くいた。
まあ、確かにそうだよな。
だって八神は俺のこと殴って
俺の記憶までなくさせて
一生俺に恨まれると思っていたに違いない。
なのに……
謝らなくてもいいなんて……
自分で口にしたのに
変に心が澄んでいて
不気味なぐらいに
笑ってられる。
「俺が……悪い」
呟くように俺は言う。
二人は黙って
俺を見つめてる。
だって……
俺は誰を責めることもできない。
八神のことも
俺が思わせぶりな態度をとったから。
俺が……自分が辛かったから
近寄ってくる女の子を取っ替え引っ替えしていたから
そんなバツが今……
きてしまったんだと考えればいい。
「で、でも……あ、あたし
取り返しのつかないこと……
悠雅から、悠雅の大切な美夜の記憶を消しちゃったのに……
悠雅は、何も悪くないのに……」
ううん。
悪いのは俺なんだ。
だから、そんなに泣かないで?
俺は女の子の涙に弱いんだ。
それに……
思ったことがあるんだ。
「最近さ……思うのが、
俺は記憶を消してもいいぐらい
美夜のことなんてどうでも
よかったんじゃないかって……
そう、思うんだ」