続・女好き彼氏
夢を見る。
何度も何度も
昔の夢を…
ピピピピピ…
まぶたの向こうでなっている何かの音。
それが目覚ましだと気がつくのに随分時間がかかった。
「おーい、朝だぞー」
そう言って誰かが俺の代わりに目覚まし時計を止めてきた。
まぁ、そんな誰かなんて見なくてもすぐにわかる。
「朝からうるさいぞ、聖斗。
ちょっと静かしてくれよ…」
そう言って俺は顔をしかめると
布団を頭の上まですっぽりとかぶる。
だが、そんな俺を許すこともなく
聖斗はわざとらしいため息を吐いた。
そして、俺の被っている布団を鷲掴みにすると思いっきり俺から布団を剥ぎ取ってきた。
うぅ、さぶい、、
だけど俺はそんな聖斗に屈することなくただただ丸まって温まるのを待つ。
「おいおいおいおい、今日なんの日か知ってるの?
今日文化祭なんですけどー?」
ちょっと俺を挑発するような言い方。
むかつく。
でも俺はその言葉にハッと目がさめる。
「い、今何時だ!?」
俺は慌てて聖斗の方を見ると
聖斗は面倒臭そうに壁にかかっている時計に目をやる。
「8時前」
その言葉で俺は全身の血がさっと抜け落ちたような感覚になり
すぐさま飛び起きた。
だって今日は文化祭。
なんてったって文化祭だ。
それも俺は劇に出る主役。
そして、劇に出る演出者の集合時間は8時15分。
「聖斗!なんでもっと早くおこさねぇんだ!!」
なんて叫びながら俺は階段を駆け下りて慌てて身仕度を始める。
そんな俺とは違ってゆっくりと階段から降りてきた聖斗は俺をあざ笑うかのように目を細めた。
「だって、お兄様の慌てる顔が見たいじゃん?」
くっそおおおおおお!!!!!!!
こんなときだけお兄様とかなんだよ!?
キモっ!!キモっ!!!!!!
「お前なぁ…後で覚えとけよ!?!?」
そう怒鳴り散らして俺は寝癖がまだ残っている髪をぐしゃぐしゃと手でとかしながら玄関の方まで走る。
「そんな髪型見て、美夜は、なんて思うかな…?」
そんな聖斗の意地悪なつぶやきを聞こえないふりをして俺は家から飛び出した。