ひざまくらの後は?
朝のむせ返るような色気は今は鳴りを潜めているけど、それでもこの人には人を惹きつける雰囲気があると思う。


お互い軽く挨拶をすませると、お目当のお店に向かう。

紳士服を扱うその店は、私が智くんに渡したお店よりも幾分か年齢層が高めだった。

オーダーメイドも扱っているみたいですけど、

目ん玉飛び出るほどのお値段でした。


「姫乃ちゃんのお父さんはどういう人なんだ?」

「あ、パパは〜」


智くんが姫乃ちゃんのお父さんの好みや性格などを聞いて、何点か見繕い意見を出す。

「職場が服装の自由度が高てうるさくないなら、これからの時期はフレスコタイが見た目にも涼しくていいと思う」

「わぁ〜、メッシュ状の生地なんですね〜!」


智くんを見上げる姫乃ちゃんの顔は楽しそうで、今日一緒にお買い物できてよかったと胸を撫で下ろす。



やっぱり仕事が出来る人は要領がよく考察に優れ、アドバイスも的確にできるらしい。

私の身近にはそういう才能に恵まれた人がいて、上手く出来ない自分との差にいつも驚かされ、

眩しく感じる。



私はいつも劣等生だった。



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