ひざまくらの後は?
「天音?」


ぼーっと意識を飛ばしていたのか智くんに呼ばれてそちらを見ると、姫乃ちゃんはすでに買い物を終えていた。

「どうした疲れたのか?」

「いいえ!今日の智くんも素敵だなぁって見惚れてました!」

そう言うと呆れた冷めた表情で返された。


でも、本当に思ってるんですー!

だって姫乃ちゃんとのやりとりで、私と話す時とは違う的確で端的な言葉のチョイスや相手の表情を観察して考察する態度を見られて、また新しい智くんを知ることが出来たんですよ!

私の友だちだからか、声のトーンと表情は柔らかい。

いつもの智くんは黙っていると冷たい印象をもたれることもあるくらい、人を惹きつける雰囲気とは逆に本人は人との干渉を面倒くさく、うざったそうにしている節がありますし。


「智くん、お腹空きましたね?」

朝ごはんを食べていない私たちは、時間もなくこの買い物が終わる今まで何も食べていない。


「だな」

クスッと笑って智くんが同意してくれる。


「姫乃ちゃん!あの、どこかでお茶にしませんか?実は私、朝なにも食べていなくてお腹ぺこぺこなんです〜」

「いいよぉ〜、姫もこの辺のオシャレなお店行ってみたいと思ってたの〜!」

「なら近くに広いオープンテラスが売りのカフェがあるからそこにするか?」

「わぁ!いいですね!そこケーキありますかね!?」

「食事に行くんだろ、ケーキは後にしろよ」
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