ひざまくらの後は?
この街の2駅隣に職場のビルがある智くんはこの辺りの地理に明るく、お店も詳しかった。

会社の人とも良く来るんだって言ってました。



先導してくれる智くんの手をポケットに突っ込んでいる後ろ姿を眺める。

あぁ、手を繋ぎたいです。
いつもはウザったそうにされても負けずに手を繋ぐのに……。

朝はあんなに近くに感じた智くんの細くて長い少し筋張った手も、今は触れられないもどかしさから遠く感じる。


「ねぇねぇ、天音ちゃん」

「なんですか?」

「諏訪さん、かっこよすぎない〜?」

「そうなんです!智くんは本当にかっこいいんですっ!」

「いいなぁ〜姫もあんなかっこいい素敵な彼氏欲しいなぁ〜!でもさぁ、大人すぎてこっちが気後れしちゃいそう」



気後れ……。

それは考えたことなかったです。

智くんは、こんな私を選んでくれたから。

私は、智くんのものだから。


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