ひざまくらの後は?
中学2年生のときに初めて彼氏が出来たきっかけは、この髪だった気がする。





「帰らないの?」

授業が終わりほとんど人のいなくなった教室で声をかけられた。

机から顔を上げると、3年の小諸(こもろ)先輩だった。

「……え?あ、はい。今日の復習と宿題やってから帰るので……」


委員会が一緒で何度か話したことはあるけど、放課後に二人で会うほど仲良くはなかったので驚いた。

小諸先輩は確かバレー部のキャプテンで、中学生の割にはかなり身長が高く大人っぽい顔立ちで女子に人気があった。


「辻さんって勉強出来るのに真面目だよな、努力を惜しまないっていうか」


真面目というか、これは私にとって当たり前のことだった。

姉より偏差値ランクの低い私立中学に入った私は、せっかくお金を出してくれた両親のためにもせめてこの学校では良い成績でいたかった。

まあ、両親が私を私立の学校に入れたのも世間体を気にしてのことで、私に期待しているわけではないけれど。


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