ひざまくらの後は?
先輩も困ってるし、もういっそ切ってしまおう。

「あの……、この体勢だと絡まってるの上手く外せないので、切りますね」

そう言って机の上に乗っている筆箱からハサミを取り出した私に、

「は!?いやっ、いい!」

「え?」

「べ、別に時間かかってもいいから!切るなよ」


先輩は諦めたのか、顔を横に背けて向かいの席に座った。

待たれるとやりづらいんですけど……。

そう思ったけど切ることを止められたので、再び先輩のカフスボタンに絡まる髪と格闘した。



「と、取れましたっ!」

やっと!時間にして5分程ではあったけど、長く感じました〜。

「……ああ、取れたんだ」

私ほどには嬉しそうでもない先輩は、解けたばかりの私の髪を一束掬うと、


「辻さん、……髪結べば?」

しかめっ面で言う。
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