ひざまくらの後は?
「天音さあ」

「はい!」

「お前は俺のものだよ」

「はい……っ」

「じゃあ髪の毛一本であろうと俺のものだよな?」

「は、はいっ」

「なら、俺以外には絶対に触らせないで」


ーームカツクから。
と昔のことにまでヤキモチをやく智くんが、可愛くて可愛くて。

ふだんクールで落ち着いていて、どこまでも大人な智くんを可愛いなんて思うことがあるなんて、こんな日が来るなんて信じられない。



まだまだ不満そうな智くんの首に腕を回して抱きつくと、

首元に擦り寄るように頬を寄せる。

シャンプーのいい香りがする。
きっと私の髪からも同じ匂いがするのだろう。

首に抱きつく私の腰を智くんが引き寄せると頭に頬を寄せているのを感じるから。


「……あの時の彼は、お姉ちゃんを選んだんです」

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