ひざまくらの後は?
◇お姉ちゃんが思うには……私の妹
「お姉ちゃん!」
ホテルのエントランスを抜けて流しのタクシーを拾おうとしていた私を呼び止めたのは、
「お姉ちゃん……」
私の妹。
振り向いた私に、妹は少しホッとした表情でこちらを見ていた。
涙の跡が頬に残っている。
その陶器のような滑らかな頬を紅潮させて、長い睫毛がじんわりと湿っている。
妹が。天音が泣いたところを、そういえば長いこと見ていなかったと思い出す。
……私は妹がずっと羨ましかった。
ホテルのエントランスを抜けて流しのタクシーを拾おうとしていた私を呼び止めたのは、
「お姉ちゃん……」
私の妹。
振り向いた私に、妹は少しホッとした表情でこちらを見ていた。
涙の跡が頬に残っている。
その陶器のような滑らかな頬を紅潮させて、長い睫毛がじんわりと湿っている。
妹が。天音が泣いたところを、そういえば長いこと見ていなかったと思い出す。
……私は妹がずっと羨ましかった。