ひざまくらの後は?
私は勉強でも運動でも、常に妹に勝っているのに。
いつもどこかで負けている気がしていた。


おじいちゃんも、小諸くんも。

何も出来ない天音でも、自分にとって何かいいことをしてくれるわけでもないのに、それでもいいとそんな天音を可愛がっていた。

素直で、真っ直ぐで、健気な。

そんな天音が可愛いかったのだ。




社会人になって家を出て、天音と関わらない生活になってから、私の気持ちは落ち着いていた。

どこまでも純粋な妹を私の醜い嫉妬心で傷つけることがなかったから。


国内で有名な大手のメーカーに勤めて、仕事は順調だし人間関係も問題なかった。

仕事で関わった人の中でも、1番仕事が出来て初めて私より何もかも出来る人だと思ったのが、

……諏訪さんだった。

< 215 / 247 >

この作品をシェア

pagetop