ひざまくらの後は?
どうしようもないことは理解している。けど、なかなか納得はできないし、悔しくて天音を無視してホテルを出てきた。

なのに、

この妹はこんなに意地悪をした私をまだ追ってくる。


「お姉ちゃん……、私」

「私、ずっと天音が羨ましかったの」

話だそうとした天音を遮り口を開く。


「……え?」

私がそんなことを言うなんて思ってもみなかったのか、天音は完全に動きを止めて呆けた顔をしている。


「天音は、私より勉強も運動も出来ないし、習ってたピアノも体操教室でも私のほうが上手にできた。読書感想文のコンクールで賞もとってないし、お父さんやお母さんに褒められることも私の方が多かった」

「は、はい」

「だけど」

言葉を切った私の言葉の続きを待つように、天音は静かに私を見てくる。

その濁りのない真っ直ぐな瞳が羨ましかった。
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