ひざまくらの後は?
すると、一寸の迷いもなく諏訪さんは当たり前のように言葉を返す。


『わかった。今から行くから少し面倒見ててもらえる?』


声の調子を少しも変えず、電話越しに紡ぎ出されるのは落ち着いた大人の男のもの。

だけど、

なんの躊躇いもなく“寝てしまった”の情報だけで天音のために動く人。



横にいる天音の寝顔を見て、安堵からそっと息をはく。

「あ、はい。天音のことは大丈夫です、心配いりません」

『そうか、ありがとう。これから車で向かうよ』

それだけ言うと諏訪さんは、じゃあ。と電話を切ろうとする。


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