ひざまくらの後は?
◇智くんが思うには……出会いは駅で
日曜日の午後に本を読みふけるのは、ずいぶん前からの俺の楽しみの一つだ。
だから今日もこの時間をゆっくりと満喫しようと思った。
けど、
「………」
膝の上に乗るこれに、どうにも意識を持っていかれて本に集中できない。
左手にあたる柔らかい感触。
俺はこれがかなり気に入っていて、色素の薄い猫っ毛の髪につい手が伸びる。
膝の上で熟睡されても嫌とは思わない、なんだかんだで甘やかしてしまう俺は、だいぶ天音に弱いらしい。
天音の髪に指を絡めながら思うのは、
初めてこの手触りを知ってから今日まで、自分自身でも驚くほどに積極的に行動してるという事実。