今日も地球の上では☆1
「……はぁ?」

ちょっと待て。

俺って、容姿も性格も家庭環境も、極々普通なんだけど……それの何処に『王子様』を感じる要素があるんだ?



「あのね、入社してすぐに私のミスのせいで、翌朝の納期だったのに『間に合わない』ってみんなから言われて……純さんが客先に謝罪の電話をして、納期を翌日の夕方まで延ばしてもらった事があったの。覚えてる?」



ああ、そう言えば、昔そんな事があったなぁ……。



「みんな翌日から現場の予定が入ってて、純さんと風花さんと私で翌日仕上げる事にして、その日は解散したの」



そう、みんな遠方での現場で、客先立会いの予定だったから変更も出来なかったんだよなぁ。



「でも、やっぱり自分の責任だから、ちょっとでも早く納品できるようにと思って、私がこっそり会社に戻ったら……流くんが先に居て、作業進めててくれたよね」

「まぁ、そんな事もあったな」



ほっとけなかったんだよ。

純さんが客先の予定とか把握していて『大丈夫』と判断したから納期を延ばしてもらい、みんなもそれが分かっていたから帰宅したけど……ミューだけ分かっていない気がしたんだ。

俺でも出来る内容だったし、みんなが帰ってからこっそり戻って少しでも進めててあげようかなぁ……って思って、帰ったフリして会社に戻った。


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