今日も地球の上では☆1
ミューが先に中へ入り、電気を点けて部屋の中へトボトボと歩いて行く。

その背中が淋しそうに見えた。



ミューってお酒が入ると、泣き上戸になるんだなぁ。

俺が間違っていたのかな?

『王子様みたい』なんて言われて、カッコつけ過ぎてたのかな?

そうだよ、俺は俺なんだから、いいじゃん『王子様』じゃなくたって。

もしそれでミューが俺に幻滅したって、違う『本当の俺』にもう1度惚れさせればいいんだから。



俺はそう決心して、ミューに近付いて行き、後ろからミューをギュッと抱き締めた。



「えっ? あのっ、流くん?」

「んな訳、ねーじゃん」

「えっ?」

「俺は童話に出て来る『王子様』じゃないんだぞ? 惚れてる女が近くに居たら、こうやって抱き締めたいし……こんな密室に2人きりで居たら、ベッドに押し倒してしまいたい気持ちにもなるんだよ!」

「流くん……」

「ただの男で、幻滅したか?」



俺の言葉に、ミューがすぐに首を左右に振った。



「幻滅どころか、ますます好きになった」



えっ?

ミューの言葉に驚いて、思わず腕の力が緩くなると、ミューは俺の腕の中で向きを変えて、俺と向かい合った。


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