未提出課題
 

「やれやれ。」
 

 
中野の溜め息は止まることがない。
職員室へ向かう間も、それは繰り返されていた。最早これは癖らしい。
 

職員室に到着すると、事務職をする職員に資料を手渡したり、少し世間話をしたりして気を紛らわした。
暫くして、中野は理科準備室へ戻ることにした。
 

 
「それでは、課題をしている生徒がいるので戻ることにします。」
 

「ああ、そうですか。解りました。資料ありがとうございます。」
 

「いえ。失礼します。」
 

 
中野は職員室を出て、少しだけ足早に理科準備室を目指した。
理科準備室に到着し、さてどれくらい課題が進んでいることだろう、と中野が引き戸を開いた。
 

瀬沼桃は、鞄やペンケースを放り出したまま、姿を消していた。
 


 
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