私は、みた。
「おはよー」
「おはよーさん」
「せんこーきたぁ?」
「今日遅刻らしいよ」
「まじでぇ〜? ラッキー!」
「やべ!宿題忘れた!みせて!」
「またぁ?留年するよ〜」

あちこちから元気な声が聞こえる。みんな朝なのに元気だなと思いながら頭をあげた。もう眠れそうにないな、こりゃ。
カバンから手鏡と化粧ポーチを取り出して準備をする。別に可愛く見せたいわけではないけど、あとでいろいろ言われるのがめんどくさい。

「ちょっとー、どきなさいよ!通れないでしょ!あ、カナ、おはよー」

教室のドアが開いて、南が入ってきた。相変わらず声と態度がでかい。南は私のまえの席にどかっと座った。私は苦笑いをしてポーチをしまった。

「おはよ、南。もうちょっと女の子らしく座ろうよ。」

南はケッ、と鼻で笑った。

「今時カナだけだよ、そんなこと気にしてんの。」
「もう、せっかく綺麗なのに。男の子に幻滅されるよ。」

南はカバンからポッキーをだしてポリポリ食べ出した。

「確かにね。けど、気にしなーい、気にしなーい!寄ってくるやつは寄って来るから、いいじゃん。」

私は呆れてほおずえをついた。まったく、南には毎回呆れる。その時、南のポッキーが奪われた。

「なんの話~?」
「混ぜて混ぜて~」
「南、また彼氏~?」

愛とランとまりなが話に加わってきて、一気に賑やかなグループができた。私たちは、いつもこのグループでいる。
リーダー感覚の南。背が標準より高くて、少し短めの金髪をいつも無理やりポニーテールにしてるから、いつも目がつりあがっちゃってる。美人肌で、告られた男の子と片っ端から付き合っては別れるいわゆる遊び人。
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