私は、みた。
ひとしきり笑うと愛が可愛く首を傾げて私に話しかけた。女でもキュンとするぐらいこの仕草をする愛は可愛い。

「で、カナは?」
「え?」

私は突然話しかけられたことにびっくりして聞きかえす。

「え?じゃないよ。最近恋愛のほうはどうなの?カナ、あんまり喋らないじゃない。」

私は力なくははっと笑って答えた。担任はやくこないかなぁ?

「別に話すことはないよ~。山形くんと別れてからとくに出会いはないし。」
「ざんね~ん!」

ランが面白そうに茶化す。彼女の趣味だ。たちが悪いったらありゃしない。迷惑もいいとこだ。けど、それは決して言わない。命に関わっちゃう!まりなが気の毒そうに笑いかけてきた。

「大丈夫だよ、カナ。カナは可愛いんだからさ、すぐに誰か見つかるよ!」
「そうだよ!ってゆーか、あんなやつと別れて正解だよ!」

この間別れた山形くんとは、同じ学校の先輩後輩の関係だった。去年のクリスマスに告られて、断る理由がなかった私は付き合ったけど、今年のバレンタインに身体を求められたのを断ったところ、すぐにめんどくさいといって振られた。けれど、そんなことはもちろん言えないので、浮気されたあげく振られたってことにしてる。

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