私は、みた。

事件


いつもより数分遅れて教室に入った私は、慌ててあたりをきょろきょろの見回す。南たちはまだ来てない。ほっと胸を撫でおろしてクラスメートに挨拶しなが自分の机に向かい、すぐさまメイクを終わらせる。
実は今日は朝から大変だったのだ。まずは朝ご飯のとき、母さんがいきなりバイトを辞めなさいと言い出した。今まで、ブースカ文句を言ってたものの、辞めろと言われたのは初めてだったので、ちょっとした口論になった。なんとか納得させて急いで家を出たはいいけど、今度は電車が遅刻。しかも、何故かいつもより満員で、次の電車を待たなくてはならなくなった。さらに今度は駅を出たところですごい自動車事故。なんとか遠回りをしてやっとのことで学校に辿り着いた。おかげで完璧にこなしたメイクははがれるし、巻いた髪の毛はぐしゃぐしゃになってしまって、少しイライラするのだ。


メイクを終わらせ、あたりを見回す。もう朝の会まじかなのに、南たちの姿が見当らない。それはそれで気が軽いけど、私も悪人ではないので、なにかあったのかと心配になる。

その時、後ろのドアがガラッとあき、まりなと愛が不機嫌そうな顔をして入ってきた。二人とも席が近いので、近くにくるのを待って、挨拶をする。

「おはよー」
「あ、おはよ」
「おはよー」

二人は少し笑顔を浮かべて、挨拶を返してきたものの、すぐに不機嫌なかおに戻る。おかしいな。今日はテストだったっけ?

「二人とも、そんな顔してどうしたのー?」

愛はまりなのほうを見て、私を向く。

「カナ、どうして昨日電話にでなかったの?」
「電話?愛、電話してきたの?」

慌てて携帯を取り出して確認すると、画面が真っ黒だった。電池がなくなったまま、また放置していたのが判明する。
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