‡いとしきみ‡
「うん…ごめんな」
 
 
そう何度も謝られては、こっちが悪い気になって来る。
 
…というか、俺が悪いのか。
1人で勘違いしてカラ回りして。
心配かけて。
 
 
…おまけに今、キナちゃんを泣かしている。
 
 
「ありがと。稔、アキちゃん」
 
 
腰を上げ、2人の前に立ち、お礼を言った後、キナちゃんの方を見た。
まじまじと見ると、小さいのは相変わらずだけど、昔より痩せているなと気付く。
 
 
「キナちゃん?」
 
 
意を決して、キナちゃんに近付き、声を掛けた
…と同時に、また震え出す肩と足。
 
 
「明菜…」
 
 
駆け寄ろうとしたアキちゃんを、首を横に振り、目で制止した。
 
 
「話がしたいんだけど…いい?」
 
 
キナちゃんは、俺の問いに、小さく頷いた。
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