‡いとしきみ‡
車のハンドルに両手を伸ばし、ダランと体重をかけて考えていると、言葉を発したのは、隣に居たキナちゃんだった。
 
 
「優夜くん。あの時…私を好きでいてくれてた?」
 
 
発っせられると思っていなかったから、驚きも一塩だ。
 
 
「…あの時、って?」
 
「クリスマスの…」
 
 
そこで漸(ヨウヤ)く、キナちゃんの言いたかった事が分かった。
 
 
「クリスマスね…。好きでもない子に、プレゼント渡したりしないよ俺。サンタさんじゃないしね?(笑)」
 
 
少し、おどけて言ってみた。
…なんたって、そんな事、恥ずかしくて言えませんて。
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