‡いとしきみ‡
「あん時さ、稔の彼女…つまりキナちゃんのお姉ちゃんね。に会って、俺キナちゃんが双子とか知らなくてさ、話しかけたら逃げられて。それでケータイへし折ったんだよね」
 
「あこちゃんが言ってた気がする…変な人が話しかけて来たって…」
 
「うん。多分それ俺の事だわ」
 
「そっか…そうだったんだ…。私、てっきり何かして優夜くんを怒らせちゃったのかって…」
 
 
そう言って、キナちゃんは俯いた。
 
 
「いや!怒るなんて。むしろ勝手に勘違いして、勝手に連絡絶ったの俺だし…。…怒ってる?よね、やっぱ」
 
 
申し訳なさと、自分の不甲斐なさに、気持ちがドッと落ちた気がした。
 
少し何かを考えて、キナちゃんは口を開いた。
 
 
「ううん。…正直ね、突然無視されたり、会えなくなったり、すごく悲しかったし、辛かったの。でも、訳が知れて良かった。…今、幸せ?」
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