‡いとしきみ‡
「海?」
 
 
そこでハッとした。
 
 
「優夜…アタシ知ってた。優夜が誰かを忘れられてないって。クリスマスの日、女の子と抱き合ってるの見た。それでも付き合ってくれたから…だから…。少しずつでもアタシの事好きになってくれたらって…そう思って…。優夜が誰を好きでも、忘れてなくても構わないと思ってた。でも辛いよ…あの時の子でしょ?今日一緒に居たの」
 
 
そう言われ、言葉が詰まった。
 
全部知っていたのかという気持ちと、そこまで追い詰めて苦しめていたのかという気持ちで、胸が詰まった。
“血の気がひく”
とは、この事なのだろう。
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