‡いとしきみ‡
「美紀」
 
 
今までとは違う雰囲気の俺を見て、美紀も真剣な顔をして聞いて来た。
 
 
「どうしたの?」
 
「手、出して」
 
「手?はい」
 
 
そう言って差し出して来た右手。その手には、さっきはめた指輪が小さな石をキラキラと輝かせている。
 
 
「そっちじゃなくてね」
 
「…?…はい」
 
 
その指に、給料3ヶ月分なんて大層な物じゃないが…大分奮発した指輪をはめた。
 
 
心臓がバクバク言ってる。このまま爆発するんじゃないか…?
 
 
軽く深呼吸をして、美紀を見た。
< 240 / 246 >

この作品をシェア

pagetop