‡いとしきみ‡
『結局寝てんじゃねーかよ…』
 
 
弁当を食べ終わった5限中。稔は、やはり寝ていた。
 
稔の席は、真ん中の列の前から3番目。
俺の席は、窓際の1番後ろ。黒板を見る時に、嫌でも稔が視界に入る。
 
ケータイいじってて、そのまま寝たみたいだし。
 
 
『ハゲ崎が怒ってるぜ。こりゃあ呼び出しだな。アイツ執念深いし』
 
 
ハゲ崎こと、担任の濱崎(ハマサキ)は、稔の前を通る度、ちらちらと稔を見ては、咳ばらいをしている。
 
 
…少し可哀相になったので、引き出しに入っている要らないプリントを、クシャッと丸めて、ハゲ崎が黒板に向かい合ってる時に、稔に当たる様に投げてやった。
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