‡いとしきみ‡

・俺を好きな美紀

話をまとめると、こう言う事だ。
 
 
公立の高校受験の日、試験教室が同じだった俺と美紀ちゃん。
休憩中に、シャーペンの芯の予備を忘れていた事に気付いたらしく、どうしようかとアタフタしてる所に、丁度、
 
 
「カチカチしてっけど、芯無かったり?…これやるよ。慌てず頑張れ(笑)」
 
 
と俺が話しかけたらしい。“…らしい”と言うのは、俺は覚えてないから。
しかも、頑張れと言った俺が落ちてるとか…。
何と間抜けな話だ。
 
それで、試験が終わって、美紀ちゃんが、美紀ちゃんの友達に俺の名前を聞いた所、俺の名前は知らないが、隣で仲よさ気に話し込んでた稔の名前は分かったらしい。
 
そして最近稔と知り合いの子を見付けたから、稔と連絡を取って、合コンになったみたいだ。
 
美紀ちゃんの行動力に、少し驚きつつ、やっぱり人に好かれる事は嬉しい事で。どう答えたらいいのか分からず、考えていたら、
 
“返事は、また今度でいいから”
 
と言われ、その言葉に甘えさせてもらった。
 
 
その後、少し気まずくて、家に送り届けるまで、2人共無言だった。
 
 
「またね」
 
 
と言い、自分家へ帰った。
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