幕末異聞ー参ー



「わしゃ長州へ行って来るき、後は頼んだぜよ」




「!!?」



西郷はさっさと身支度を始めた坂本を目で追うことしかできないほど驚いていた。



「幸い、長州には今桂さんがいるきに今の薩摩の状況も報告してくるぜよ」




簡単には言う坂本だが薩摩から長州に行くまでは最低でも三日はかかる。
しかも、今までの西郷の活躍は坂本の後ろ楯あってのところだったこともあり残される西郷にのし掛かる不安は半端ではない。



「いや、坂本どん。でも家茂様は来年といっとる。だがらそんな急に知らせなくても…」




「何を言うとるがじゃ西郷さん!そんな悠長なこと言うとったらいかんぜよ!
来年になって動き出して同盟結んで武器調達してなんてできるわけないんじゃ!!早め早めに動かんと!」




「…坂本どん」



あっという間に支度を終えた坂本の言葉に西郷は自分が目前のことしか考えていないことを恥じた。





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