幕末異聞ー参ー

近藤の返事が本心からのものだと確認した松平公は、永倉と斎藤に優しい眼差しを向ける。


「永倉、斎藤。主導者とて所詮人間。間違えた行動を起こすこともある。もし、近藤がこの先再び道を外すことがあったなら、また余の所へ来るといい。
今日の一件、余に免じて収めてくれぬか?」


「…はい」

前を見れば困ったように笑う松平公。
後ろを振り返ればいつまでも顔を上げようとしない近藤。
この状況で異議を唱える理由など永倉と斎藤にはなかった。


「うむ。では、これにて一件落着と致そう」

晴れ晴れとした笑顔の松平公は一本絞めでその場を締めくくった。
永倉と斎藤が近藤に慌てて駆け寄る姿を見送り、神保を従えた松平公は謁見の間から退室していった。





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