幕末異聞ー参ー
「もも…もっ申し訳ありません!!か身体が勝手に…っ」
弁解の余地なし。今まで押し殺してきた感情が堰を切ったように流れだしてしまった。間違いなく嫌われただろう。
私は沖田様の胸を押しやり、一刻も早く背後の門の中に入ろうとした。
「待ってください!」
逃げようとする私の腕は大きな温かい手に捕まった。
「ごめんなさい!困りましたよね!?私なんかにこんな事言われて…」
「お琴さん」
「どうぞ…お忘れください!こんな愚か者の言うことなんて気に留める価値もありませんから」
「お琴さん!」
「本当にごめ「お琴さん!!」
突然、腕を強く引かれ前のめりになった私のもう片方の腕も愛しい手に優しく包まれた。
これは夢なんだ。
私が都合よく作り出した幻想。
だってそうでしょう?
私が触れていい方じゃない。
恋心など抱いていい方ではない…