俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
「やだ可愛い!!」
「ちょっと……」
ガバッと今度はあたしが抱きつかれた。
「ああ、そうそう。その人ね?」
「う、うん」
「例の篠原先輩よ。屋上にいるらしいって話も聞いてたけど…信憑性はなかったのよね。でも茶髪ですっごーーく素敵で背がつまり…百八十くらいね? っていったらもう、あの人しかいないわ」
う……うそ。
あの人が?
噂の……篠原なんとかせんぱい?
驚きと納得が同時に駆け巡り、パチパチと瞬きを繰り返すほかなかった。
「まさか…会ったの!?」
大きな声で言う杏子に、「はい。それどころかチョメチョメされました」なんてことは言えず。
「い、いやまさか!?」
下手ーーな嘘をついた。
自分でも自覚はあるんだよ…。
嘘になってないなっていう自覚は…。
「ほーお? あたしに隠し事?」
「え"……」
腕組みをする杏子の背後で、凄まじい炎が音を立てているように見える。
もはや恐怖の対象…。
恥ずかしいとか言ってらんない。
「実はぁ……」