俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

抱きしめたい。

抱きしめて「心配するな」と言ってやりたい。


俺が……お前を嫌いになることなど、絶対にない。



…なのに、それができない。


ビビッてんのかよ…俺。

また拒否られたら、とかってビビッてんのかよ…。


「悪い…悠由」


「え……」


とたんに悲しそうな表情になり、さらに泣きそうになる。


「あ、いや…違う」


…なに焦ってんだよったく……。

マジでこいつ調子狂うな。


「俺が悪かったよ……」


顔を隠すようにしてそっぽを向き、呟くように言った。


「せ……」


「…?」


「せ……」


「…?」


「せ……先輩が謝った!?」


「押し倒すぞコラ」


なんなんだよマジで?

さっきまで泣いてたくせに遠慮なく失礼だな。



< 113 / 335 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop