俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

「す、すみません」


小さくなってそう言うと、しばらく黙って俺の顔を見つめる。


「…?」


「!!!」


はあ?


…かと思えば、カッと瞬く間に顔を朱に染め、持っていた鞄で隠す。

なんだこいつ?


「おい…悠由?」


「っ…す、すみません…」


いや、なんで謝るんだよ。


俺は…どうすりゃ…。


また伸ばしかけた行き場のない右手を握ったり開いたりした。


そうしてるうちに、


「ごめんなさいでした……」


また謝って、悠由は走って逃げてしまった。


「あ、おい!」


降ろしかけた手をまた上げて……三度(みたび)その手は宙を切るだけなのだった。





「あー……くそっ」



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