俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
――悠由サイド――
ダダダダダーッと駆けていくとすぐに家の前まで着いた。
そのままの勢いでドアを開けると、濡れた頬を拭ってパチンと一回叩いた。
「悠由?」
「あっママ」
危ない危ない…。泣いてたのがバレちゃうとこだった。
「おかえりー」
「ただいま!」
ニッコリと笑顔を作ってみせ、リビングへ入る。
「おねーちゃ~ん」
「ああ由那~❤」
大きな瞳を揺らして抱きついてきた由那を、思いっきり胸に抱きしめた。
「……シスコン」
「なんか言った?」
「別に」
ふっ…那智兄は知らないだろうけど、杏子から言わせたら自分もシスコンなんだよーだ。
口には出さず、見えないようにベーッと舌を出した。
「……ゆーなっ」
「えへへー」
「……なんかあったか?」
「んーん。なんもないよ」