俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
あんまり由那を抱きしめてると、那智兄にはバレちゃうね。
こんくらいにしとかないと。
そう思い、話題をそらした。
「あ、そうだ。今日も宿題教えてよ~」
「ハァ…ったく。仕方ねーな」
「えへ。ありがと~」
じゃあ準備してくるね! と残して、部屋に駆け上がった。
「……ふう」
……先輩…怒ってなかった。
でも…困ってた、な…。
やっぱり迷惑なのかなあ。
「…っ……」
ああ…もう! 泣いちゃダメなのに…。
視界が歪んできて、慌てて目をこすった。
「…ダメだなあたし」
ドアにもたれかかり、ぽつんと言葉を落とした。
その後、那智兄が「早くしろ馬鹿!」という怒声と共に飛び込んでくるまで、しばらくしゃがみ込んでいた。
…ひどいっ。
落ち込ませてくれたっていいじゃんかぁ。