俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
でも今那智兄あたしの荷物持ってくれてるよ?
ていうか…奪い取られたというか…。
そのまま返す気ないんじゃないかってくらいの勢いで奪い取られた。
「つーかウインドウショッピングじゃなかったのかよ」
「そんなん口実ですよ」
「……」
そうなの…?
あたしそういうつもりで言ってないんだけど…まあいいか。
談笑しながら歩いているうちに、一番近い美紅ちゃんの家が見えてきた。
「じゃーあたしあっちだから。ばいばい悠由」
「ばいばーい」
「あたしにも言いなさいよ!」
「ああ、ごめん。忘れてた」
相変わらずですね…お二人…。
杏子がぷりぷりしたまま再び足を進める。
「ったく…美紅めっ。……あ、そうだ。まったくといえば…悠由先輩とはどうしたんだっけ?」
なんでまったくで思い出すのそれ!?
あたしそんなにまったくって思われてた!?
内容よりそっちに気を取られ、完全にショックを受けて固まる。
「……なにこの兄妹」
「…へ?」