俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
「……」
「……」
もう何一つ隠してはいない。
すべて話したのに、杏子は黙ってあたしを疑いの目で見る。
「ほ、ほんとにもう…嘘は…」
両手の人差し指と人差し指をくっつけ、肩をすくめて上目遣いに言ってみる。
「……そっ」
一泊おいて、ようやく納得してくれたみたい。
肩の力を抜いて、背もたれ側を前に、椅子へ座る。
「しっかしねー…。篠原先輩てそんな人だったんだ」
そんな人、というのが何を示しているのかは明白。
当然……あの横暴っぷりだよね。
「悠由みたいな可愛い子になびくようなとこあったんだ」
「…ん?」
…あれ。なんか違くない?
なんかびみょーーにだけど、色々違わない?
「そうじゃなくてさ…もっとこう、気になるとこがあるんじゃ」
「別に」
「……」
杏子…冷たいんだね……。
さらりと言ってのけた杏子に、諦めの目を向けた。