俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
「あっれー? 龍樹じゃなあい?」
「へ?」
「…?」
そろそろ学校に着こうかというとき。
右方向から、聞き覚えのある耳障りなほどキャンキャンした声でそう言葉がかかった。
「チッ……」
駆け寄ってくるぎゃるを視界に入れた途端、舌打ちをしてものすごーく怖いオーラを全開にする。
先輩…怖いっす。
「龍樹~なんで最近……ん? あんた…」
わ…み、見つかった…。
あのときのぎゃる…。
『龍樹はあたしを抱いたのよ!』
そのとき言われた言葉達を思い出し、ズキンと針を刺したような痛みが走った。
「ちょっと…まだ付き纏ってたのこの子?」
「……」
「あ?」
どうしよう……。
無意識に、握られていた手をギュッと握り返した。
「龍樹言ってやんなよー。迷惑だ、ってさ」
「あ?」