俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
そうしているうちにも時は過ぎ、やがて下校時間となる。
陸上部に所属する杏子は部活へ行き、あたしは一人帰ることにした。
「じゃあね~~がんばってね!」
「気をつけるのよ! 変なおじさんに着いて行っちゃダメよ? 飴もらっちゃダメよ? 寄り道しないのよー?」
「……」
振っていた手も思わず止まるほどの子供扱いだ。
小学生じゃないんだから。
「返事はーっ?」
「はーい…」
グラウンドを駆け抜ける杏子にゆっくりと答え、たらたらと歩いた。
今日……なんて疲れる一日だったんだろう。
なにが一番って、篠原先輩? …もだけど、杏子がこあかったぁ。
先生より断然怖かった。
「はぁ……」
帰ったら由那(ゆな)に慰めてもらおっと。
今年六歳になる妹の由那は、姉のあたしが言うのもアレだけどすごく可愛い。
とても癒される。これぞ究極の癒し!!
そう思うと少しだけ元気が出て、足取りも軽く帰宅した。
「ただいまーっ由那ぁー」
「おねーちゃんっ」
家の中に入ると同時に声をかけると、パタパタと一生懸命に走ってくる。
…ああ……可愛い…。