俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
――龍樹サイド――
「……」
いつもの部屋で横になり、天井を見つめる。
思い返すのは、今朝の悠由。
『先輩……!』
小さく叫んだ声には気付いていた。
それが…泣き声だったことにも。
でも俺は、それに振り向くことができなかった。
聞こえないふりをした。
また……あいつを泣かせた。
「……」
『昨日えらいイケメンと腕組んで歩いてたんだよ』
耳障りな声で可笑しそうに言った女の言葉も思い出す。
もちろん、アイツを信じるわけはなかった。
でも…悠由が目を見開いたんだ。
否定しなかった。
あいつは嘘のつけない性格だ。
事実なんだろう。
「ハァ……」
俺にはそれを咎める資格はない。
別に付き合ってるわけじゃないんだ。どうこう言う資格は…ない。