俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
「人が豚と結婚する!? ……いや、これは俺が言った例えだよ馬鹿。違う違う。龍樹に女!?」
なにを一人で漫才してんだこいつは。
悠由並みに見てて飽きねー。
「きっ…きっ…きき貴様なにを言うのだ! 龍樹に女など牛がエイリアンと結婚するくらいあり得ないぞ!」
さっきと変わってるし。
つかなぜそんなに結婚にこだわる。
「…ハァ。じゃあ牛もエイリアンと結婚すんだよ」
適当に受け流すと、棚に身を隠していたはずの薫がいつの間にか目の前まで来た。
「ならばっ! 世の中の鶏が全部実は彗星人のなりの果てだったってことくらいあり得ないんだぞ!」
結婚じゃなくて家畜にこだわってんのかよおい。
馬鹿なんじゃねーのか本物の。
そう思いながらも、また同じことを返す。
「じゃあ鶏は全部彗星人なんだよ…」
ため息をついて、再び横になる。
…には、固まっている薫が邪魔なため、蹴り飛ばしてから。
それでも尚固まっているその根性は…見上げるものがある。
まあ必要ないと思うが。そんなもの。
目を閉じて、騒ぎ出す薫をよそに意識を飛ばした。
一眠りして……それからだ。
自分が落ち着いてから悠由を……。